眠りたいのに眠れない「不眠症」の原因と改善のヒント

不眠症とは?眠れない夜の正体を知る

夜、ベッドに入ってもなかなか眠れない。
気づけば深夜、スマホの光だけが部屋を照らしている。

そんな「眠りたいのに眠れない夜」を経験したことがある人は少なくありません。
それは単なる寝不足ではなく、「不眠症(Insomnia)」のサインかもしれません。

 

不眠症の定義と主なタイプ

不眠症とは、十分な睡眠の機会があるにもかかわらず、入眠や睡眠の維持が困難で、日中の心身の機能に支障をきたす状態を指します(ICSD-3基準)。

主なタイプは以下の4つです。

・入眠困難:寝つきに時間がかかる(目安として30分以上)
・中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
・早朝覚醒:予定より早く起きて再び眠れない
・熟眠障害:眠っても疲れが取れない感覚が続く

国際的な定義上、慢性不眠症は、週3回以上の不眠が3か月以上続く場合に診断されます。

 

睡眠不足との違い

睡眠不足は一時的に睡眠時間が足りていない状態を指します。
一方で不眠症は、眠る時間があっても眠れない「睡眠障害」です。

つまり問題は時間ではなく、「眠る力(睡眠の質)」にあります。
睡眠時間が短くても日中のパフォーマンスに支障がなければ問題ない場合もありますが、長期的な睡眠不足は健康リスクを高めると報告されています(AASM, 2021)。

 

不眠の主な原因

不眠の原因は一つではありません。
心・体・環境のバランスが崩れることで、眠りのリズムも乱れます。
ここでは代表的な五つの原因を紹介します。

 

① ストレス・不安・うつによる心理的要因
仕事や人間関係のストレス、将来への不安などがあると、脳の「休息スイッチ」が入りにくくなります。
このとき交感神経が優位になり、体温や心拍が下がらず眠りに入りづらくなります。
慢性的な場合は、「認知行動療法(CBT-I)」が最も有効な治療法として世界的に推奨されています。

 

② スマホ・PCのブルーライト
ブルーライトは「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌を抑制し、体内時計を遅らせます。
寝る一時間前からスマホやPCの使用を控え、光のデトックスを意識しましょう。
ナイトモードだけでなく、明るさを下げて距離を取ることも大切です。

 

③ カフェイン・アルコール・喫煙
カフェインは午後以降の摂取で入眠を遅らせ、深い睡眠を減らします。特に総量400mg近い日は、就寝12時間前でも影響が残ることがあります。
アルコールは寝つきを良くするように見えて、実際は眠りを浅くし中途覚醒を増やします。
喫煙(ニコチン)は覚醒作用が強く、入眠障害のリスクを高めます。

 

④ 身体的な病気や薬の影響
甲状腺機能亢進症、喘息、慢性疼痛、うつ病などの疾患が背景にあることもあります。
また、抗うつ薬や降圧薬などの副作用として不眠が現れる場合もあります。
医師と相談し、原因を特定することが大切です。

 

⑤ 加齢による睡眠の変化
加齢とともに深いノンレム睡眠が減り、夜中の覚醒が増える傾向があります。
これは自然な変化であり、朝の光を浴びる・日中に体を動かすなど、生活リズムの調整で改善が期待できます。

 

「寝なきゃ」と焦るほど眠れなくなる理由

「早く寝ないと明日がつらい」と考えるほど、脳が覚醒してしまうことがあります。
これは「入眠不安」と呼ばれる現象です。
眠りはリラックス神経である副交感神経が優位になることで始まります。
深呼吸や瞑想、軽いストレッチを取り入れることで、自然な眠気を呼び込みやすくなります。

 

不眠症改善の第一歩:生活習慣の見直し

睡眠リズムを整える「朝の光」と「夜の習慣」

・朝起きたらすぐにカーテンを開けて太陽の光を浴びる
・夜は毎日同じ時間にベッドに入る
・昼寝は20〜30分以内にとどめる(遅い時間の昼寝は避ける)

体内時計をリセットし、自然な眠気を導くのに効果的です。

 

寝室環境の最適化

照明は暖色系のやわらかい光にし、室温は20〜23℃前後を目安に、自分が少しひんやりして心地よいと感じる温度に調整します。
深部体温がゆるやかに下がることで入眠しやすくなります。
季節や体質に合わせて微調整するのが理想です。
騒音が気になる場合はホワイトノイズを検討し、寝具は体をやさしく支えるフィット感を重視しましょう。

 

食事と睡眠:眠りを助ける栄養素

食事は睡眠の土台を整えるサポートになります。
特定の栄養素を摂取すると、メラトニンやセロトニンの生成経路を支える可能性が示されています。

・バナナ:トリプトファン(睡眠ホルモンの材料)
・アーモンド:マグネシウム(神経の興奮を抑える)
・チェリー:メラトニン(睡眠リズムの調整を助ける可能性)
・鮭・豆腐:ビタミンB6(トリプトファン代謝を補助)

※効果には個人差があります。
※上記の食材に限らず、規則正しい食生活は、睡眠に良い影響を与えると言われています。

 

専門家に相談すべきタイミング

週3回以上の不眠が3か月以上続く、または2週間以上でも日中の支障が強い場合は専門医に相談を。
診断は主に問診や睡眠日誌を用いて行われます。
脳波検査(PSG)は、主に睡眠時無呼吸症候群など他の睡眠障害が疑われる場合に実施されます。

 

治療とセルフケアの考え方

薬だけに頼るのではなく、生活リズムの再教育が長期的な改善の鍵です。
医師の管理下で少しずつ薬を減らしていくことも可能です。
まずは生活習慣とストレスケアを整えることから始めましょう。

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 不眠症は放っておいても治りますか?
一時的な不眠は自然に改善することもありますが、慢性化する場合は治療が必要です。

Q2. スマホをやめればすぐ眠れるようになりますか?
効果はありますが、個人差があります。
また、朝に日光を浴びるなど、体内時計をリセットする活動も重要です。

Q3. 睡眠導入剤は安全ですか?
医師の管理下で適切に使用すれば、安全性は保たれます。長期使用時は医師と相談しましょう。

Q4. 寝酒は眠りに良くないの?
はい。アルコールは眠りを浅くし、途中で目が覚めやすくなります。

Q5. 睡眠時間が短くても大丈夫?
日中のパフォーマンスに支障がなければ問題ありませんが、慢性的な短睡眠は健康リスクを伴います。

Q6. 睡眠外来では何をするの?
睡眠日誌・アクチグラフ・問診を中心に評価し、必要に応じて検査を行います。

 

スリープインク・リキッドで、
夜のリラックスタイムを穏やかに整える


夜のお休み時間に、そっと寄り添うナチュラルブレンド。
ホップ、バレリアンルート、レモンバーム、ターメリックなど、ヨーロッパでは体のバランスを整える目的で、リラックスやマインドフルネスに用いられる成分をバランス良く配合。

・100%植物由来、無添加・無農薬
・デンマーク王国 ”Institute of Natural Medicine ApS.” の認証を受けたナチュラル配合
・就寝30分前のリラックス習慣に


詳細はこちら:
https://sleep-inc.jp/products/liquid

 

まとめ

夜、ベッドに入ってもなかなか眠れない。
気づけば深夜、スマホの光だけが部屋を照らしている……。

そんな「眠りたいのに眠れない夜」を経験したことがある人は少なくありません。
それは単なる「寝不足」ではなく、不眠症(Insomnia) の可能性があります。

眠れない夜は、心と体が「助けを求めているサイン」です。
焦らず、少しずつ、生活リズムを整えていくことから始めましょう。

 

参考文献

American Academy of Sleep Medicine. International Classification of Sleep Disorders, 3rd Ed. (2023 update).
Riemann D et al. Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia. Lancet Psychiatry, 2021.
Cajochen C et al. Evening exposure to blue light and melatonin suppression. J Clin Endocrinol Metab, 2005.
Drake C et al. Caffeine effects on sleep: meta-analysis. Sleep Med Rev, 2013.
Roehrs T & Roth T. Alcohol and sleep. Alcohol Res, 2018.
Inagawa K et al. Glycine ingestion improves subjective sleep quality. Sleep Biol Rhythms, 2006.
Howatson G et al. Effect of tart cherry juice on sleep. Eur J Nutr, 2012.

一覧に戻る